金沢市のモダンフレンチレストラン「レ・トネル ぶどうの木(Les Tonnelles)」に行ってきました。
IRいしかわ鉄道線「森本」より徒歩14分ほど
金沢駅からもタクシーで15分弱。
帰りは森本駅までのんびり歩いても良いと思いますが、行きはタクシーでオンタイム入店の方がスマートでしょう。
ミシュランガイド2つ星獲得
2019年11月開業。
店名「Les Tonnelles(レ・トネル)」は、フランス語で“ぶどう棚”の意。
金沢フランス料理界の先駆者「ぶどうの木」グループが、本店敷地内にオープンしたグランメゾンです。
オープンから2年足らずで「ミシュランガイド北陸2021 特別版」2つ星獲得。
また、環境に配慮した料理を提供する店として「グリーンスター」の評価も受けています。
空間がすごすぎる
陽光が差し込むドーム型の温室!
世界的建築家・坂茂(ばんしげる)氏による設計で、アーチ部分はなんと「紙管」で出来ています。
食前酒とアミューズはこちらのラウンジで。
ちなみに、もう一組の予約のお客様がキャンセルになったらしく、なんと貸切とのこと。贅沢すぎる。
よく見ると、椅子まで紙管で作るという拘りっぷり。
グルメブロガー・タケマシュラン氏曰く「世界で最も炎上に耐性の無いお店」とのこと。
アルコールペアリングは5,500円
天狗舞 純米大吟醸(車多酒造/石川県)
早速ワインかと思いきや、いきなり石川の地酒でスタート。
フルーティでフレッシュな「天狗舞」が食欲をそそります。
ランチコースは8,800円
息つく暇もなく、紙管の3段バスケットが登場!
このワクワク感はバルセロナの「ディスフルタール」以来です。
バスケットを開けると、2種類のアミューズと、クルンと巻かれたメニューがボンジュール。
茄子スプーン
タイトルの通り「茄子」でできた「スプーン」をスプーンごといただきます。
中には奥能登で育った七面鳥が詰まっていて、ビジュアルを裏切るマッチョな一皿です。
胡瓜(キュウリ)
こちらは胡瓜の冷製スープ。
しかし、主役は2つに切られたシャインマスカット。シンプルにフレッシュで美味しすぎる。
厨房前のカウンターへ移動
3品目のアミューズはカウンターで。
このアトラクション感が素晴らしい。
何やらグツグツと沸き立つ出汁。。
シェフ自ら、小さな器に注ぐと、、
ジャガメン
豚骨ラーメンの出来上がり!
その名の通り、麺は細く切ったジャガイモで出来ています。君はこれほどナチュラルなラーメンを食べたことがあるか。
いよいよメインダイニングへ
ここから席に着いて、コースのスタートです。
窓の外には「ぶどうの木」グループが所有する広大な畑。都心のレストランには到底真似できない最強のロケーション。
床からぶどうの木が生えていて、頭上には本物のぶどうの房が垂れています。
11月には実が落ちてしまうそうで、ビジュアル的には夏~秋口がベストシーズンかも。
GREEN ET JAUNE 2020(グリーン・エ・ジョーヌ)
「ぶどうの木」オリジナルのデザートワイン。
真昼間から庭を眺めて飲む酒はうまいか?(うまい)
庭師 高田ラボ(Jardinier Takada Labo)
「レ・トネル」のスペシャリテ。
ゲスト自らの手で収穫体験をしながら味わうサラダです。これぞ“Farm to Table”の極致。
本日の納品書。
“朝引き地鶏”ならぬ “朝引き野菜”。レストラン敷地内で採れた旬の野菜が日替わりで登場します。
敷地内にある95mの円形の畑「L’assiette(ラシェット)」を模した器。
土に見えるものはおからをローストしたもの。
卵黄と土佐酢のジュレを混ぜて、マヨネーズ風のソースを作り、野菜をディップします。
「野菜はおいしいから食べるんだよ」(ホリエモン風)
SAECULA Sicilia DOC Grillo(セクラ・シチリア・グリッロ)
アロマティックで心地良いハーブ感が特徴のシチリアワイン。
ボトルのジャケがめっちゃ可愛い。
ブロッコリー
ブロッコリーと言いつつ、中には能登産のフレッシュな牡蠣が隠れています。
このあたりで本日の勝利を確信。ごく控えめに言って美味しすぎる。
LES AMITIES BLANC 2019(レザミティエ・ブラン)
雪だるま式にワインが出てきますが、「飲み比べも楽しいのでごゆっくり」とソムリエの福島さん。
こちらは余市産ブドウを100%使用した、北海道「平川ファーム」のオリジナルワイン。
シャドークイーン
もはや近未来の建造物。
北海道生まれの紫色のジャガイモ「シャドークイーン」を麵状にしてパリパリに焼き上げたものが天井になっており、その土台には炭火で香ばしく焼かれた肉厚のヒラメが。
九谷焼(くたにやき)
テーブルの前にヘッドシェフの砂山さんが登場。
石川県を代表する伝統工芸品「九谷焼」を木づちで破壊します(!?)
九谷焼の中から現れたのは、包み焼きにされた「ビーツ」
なんと、300℃で1時間、そして120℃で3時間焼き上げたとのこと。
ビーツはたっぷりと水分が含まれていて、ビジュアルからは想像できないほど、優しくジューシーな味わい。
イノシシ肉のローストと合わせて、本日のメインディッシュとしていただきます。
CHATEAU TOUR BAYARD(シャトー・トゥール・バイヤール)
ワインペアリングの〆はボルドーの赤。
僕のようなワインビギナーでも「完全にウマい」とわかる、アロマティックな味わいとスムースな口当たり。
First Essence WET MMXXI Gin(辰巳蒸溜所)
限定生産のプレミアムなジンが登場!
岐阜県・辰巳蒸溜所による、東京オリンピック記念ボトル。庭のコスモスを封じ込めたフォトジェニックな氷と共に、Dryなジン・トニックでボナペティ。
和梨
ここからデセールに突入。
和梨のピンクペッパーシロップ煮に、烏龍茶とピーナッツがアクセントとなり、なんだか多国籍な味わいです。
黄桃
黄桃の果肉に、ブラッドピーチクリームを合わせて、白桃ソースをかけて仕上げる、桃界のロイヤル・ストレート・フラッシュ。
小菓子(ミニャルディーズ)
焼きたてのフィナンシェ、きんつばをイメージした小菓子で〆。
すでにお腹がパンパンだったので、めちゃくちゃ嬉しいひとつまみサイズ。
あっという間の2時間が終了
ラストはテーブル前のガラス扉が全開となり、レトネル劇場これにて閉幕。
サービスマンの山口さんとテラスで談笑。
野菜はできるだけ新鮮な状態で味わってほしいと、顧客が来店してから従業員が畑まで走って収穫しに行くこともあるそう。
ヘッドシェフの砂山利治さん(左)と、パティシエの岸本亮さん(右)。
本場・フランスのミシュラン星付きレストランで腕を磨いた新進気鋭の料理人です。ぶどうの木の会長がフランスの店を訪れた際にスカウトしたとのこと。
使わなかったお箸は、お土産でいただけることに。
ナチュラルな木目に「Les Tonnelles」の刻印がカッケェ。
食後は畑を散歩しよう
食後は「ぶどうの木」が所有する広大な敷地を自由に散歩することができます。
フランスの田園風景かな?
金沢駅から電車で2駅でこんな世界が広がっています。
分かりづらいですが、奥に見えるのが、料理皿をイメージした95mの円形の畑「L’assiette(ラシェット)」です。
野菜が育つ「ラシェット」をのんびり散歩しながら、数時間前に食べたサラダに思いを馳せる極上体験。
オリンパスの単焦点レンズ(25mm/F1.8)が火を噴くぜ。
細かすぎて伝わらない昆虫スナップ集
アキアカネ(♀)
昆虫少年の血が騒いだのでサクッと解説します。
いわゆる「赤とんぼ」ですが、ナツアカネと酷似しているため同定が困難なものの、胸部の模様で判別可能。また、翅が薄く茶色に染まっているので、おそらくメスでしょう。
キアゲハ(夏型/♀)
ラベンダーの花を吸蜜するキアゲハです。
10月初旬ということもあり翅の損傷が激しく、翅表での雌雄判別が難しい個体ですが、アゲハチョウ属のメスの特徴として、腹部の上端が尖った印象が見られます。幼虫の食草はセリ科の植物をはじめ、ニンジン、ミツバ、パセリなどの野菜と幅広いので、これらが畑で栽培されている可能性もありますね。
ハネナガイナゴ(♂)
バッタ目は専門外になるので、コバネイナゴの長翅型との区別ができません。ここまで翅の先端が長いとさすがにハネナガでしょうか。どなたか教えてください。
マワリテメグル、食材の命
単なるレストランの域を超え、「自然の循環」や「街づくり」にまで踏み込んだ、コンセプチュアルな取り組みに心を打たれました。
お料理が8,800円、アルコールペアリングが5,500円で、お会計は1人あたり約1.5万円。
このコストパフォーマンスは北陸の奇跡と言っていいでしょう。
【営業時間】
12:00スタート / 18:00スタート
*完全予約制
追記:2021年11月より、コース19,360円、アルコ―ルペアリング8,000円、ノンアルコールペアリング5,000円となっております。(*すべて税サ込)
Tel:076-258-0204今回ご紹介したお店
店名 | レ・トネル(Les Tonnelles) |
住所 | 石川県金沢市岩出町ハ50-1 ぶどうの木本店 |
エリア | 金沢 / 岩出町 |
アクセス | IRいしかわ鉄道線「森本」より徒歩14分 |
定休日 | 不定休 |
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@lestonnelles501 |