テイラー・スイフトの大ヒット曲「Shake It Off」と、アドラー心理学における「課題の分離」の共通点に気づいたので記録しておきます。
Taylor Swift – Shake It Off
I stay out too late
Got nothing in my brain
That’s what people say, mm-mm
That’s what people say, mm-mm
私は夜遊びが過ぎるって
頭の中は空っぽだって
みんな、そう言っているわ
みんな、そう言っているわI go on too many dates
But I can’t make them stay
At least that’s what people say, mm-mm
That’s what people say, mm-mm
沢山デートに行っても
誰とも長続きしない
少なくともそう思われている
みんな、そう言っているわBut I keep cruisin’
Can’t stop, won’t stop movin’
It’s like I got this music in my mind
Sayin’ it’s gonna be alright
でも私は突き進むわ
止められないし、止まるつもりもない
だって、私の頭の中でこんな音楽が聞こえるの
「きっと大丈夫だよ」‘Cause the players gonna play, play, play, play, play※
And the haters gonna hate, hate, hate, hate, hate
Baby, I’m just gonna shake, shake, shake, shake, shake
I shake it off, I shake it off
だって遊び人は遊び続けるものだし
アンチは悪口を言い続けるものだし
ベイビー、私は気にしない
気にしてなんかいられないHeartbreakers gonna break, break, break, break, break
And the fakers gonna fake, fake, fake, fake, fake
Baby, I’m just gonna shake, shake, shake, shake, shake
I shake it off, I shake it off
意地悪な人は、人を傷付け続けるし
嘘つきは嘘をつき続けるし
ベイビー、私は気にしない
気にしてなんかいられない※players are gonnaの「are」が省略された形。
タイトルの【Shake It Off】とは「~を振り落とす」(転じて「気にするな!」)の意。
この曲には「“世間の目”なんて気にせず、自分らしく突き進め」というメッセージが込められています。
アルバム『1989』インタビューより
「Shake It Off」は、批判やゴシップや侮辱など、私を見下げてきたものについての曲なの。
(中略)4年前にリリースした「Mean」では、「なぜ私をからかうの?なぜ私がやることは、いつでもあなたの御眼鏡に適わないの?」って多少負け犬目線だったと思うの。
そして4年早送りして、「Shake It Off」では、「いい?もし、私が私らしくあることがそんなに気に障るんだったら、もっとそうするし、あなたより楽しんでいるから、関係ない。」って。
テイラー・スウィフト 最新インタビュー | Special | Billboard JAPAN
アルバム『1989』(2014年リリース)のインタビューより。
当時24歳のテイラーが4年前(20歳)と比較して、自身の精神的なアップデートについて言及しています。超絶パンチライン。
アドラー心理学「課題の分離」
われわれは「これは誰の課題なのか?」という視点から、自分の課題と他者の課題とを分離していく必要があるのです。
岸見 一郎『嫌われる勇気』ダイヤモンド社
誰の課題かを見分ける方法はシンプルです。「その選択によってもたらされる結末を最終的に引き受けるのは誰か?」を考えてください。
岸見 一郎『嫌われる勇気』ダイヤモンド社
「課題の分離」とは、アドラー心理学における中心的な概念のひとつ。
たとえば、勉強しない子どもがいたとき、「子どもが勉強するかしないのか」は子どもの課題であって、親の課題ではありません。
(「勉強しない」という選択によってもたらされる結末「学校の授業についていけない」等を最終的に引き受けるのは子ども自身であるため)
他者の課題を切り捨てよ
他者の課題に介入すること、他者の課題を抱え込んでしまうことは、自らの人生を重く苦しいものにしてしまいます。もしも人生に悩み苦しんでいるとしたらーその悩みは対人関係なのですからーまずは、「ここから先は自分の課題でなはい」という境界線を知りましょう。
岸見 一郎『嫌われる勇気』ダイヤモンド社
自らの生について、あなたにできるのは「自分の信じる最善の道を選ぶこと」、それだけです。一方で、その選択について他者がどのような評価を下すのか。これは他者の課題であって、あなたにはどうにもできない話です。
岸見 一郎『嫌われる勇気』ダイヤモンド社
本来は他者の課題であるはずのことまで「自分の課題」だと思い込んで、苦しんだり、逆に人を傷つけてしまうパターンがありますが、これは課題の分離ができていない証拠です。
他者の期待を満たすために生きているのではない
他者から承認してもらおうとするとき、ほぼすべての人は「他者の期待を満たすこと」をその手段とします。
(中略)しかし、たとえば仕事の主眼が「他者の期待を満たすこと」になってしまったら、その仕事は相当に苦しいものになるでしょう。
岸見 一郎『嫌われる勇気』ダイヤモンド社
いつも他者の目を気にして、他者からの評価に怯え、自分が「わたし」であることを抑える生き方は誰しも苦しいでしょう。
また、好きなことを生業とするアーティストやパフォーマーにとっては本末転倒です。
テイラー×アドラーの共通点の考察
Heartbreakers gonna break, break, break, break, break
And the fakers gonna fake, fake, fake, fake, fake
Baby, I’m just gonna shake, shake, shake, shake, shake
I shake it off, I shake it off
意地悪な人は、人を傷付け続けるし
嘘つきは嘘をつき続けるし
ベイビー、私は気にしない
気にしてなんかいられない
青色:他者の課題
赤色:自分(テイラー)の課題
いよいよ本題。
「意地悪」や「嘘つき」といった他者の課題に対して、相手を批判することもなく、テイラー自身を責めることもなく、「Shake It Off=気にしない」というスタンスでバッサリと切り捨てています。
アドラー心理学の「他者の課題には介入せす、自分の課題には誰ひとりとして介入させない」というメソッドを端的かつポップに体現しています。
「Heartbreakers」や「Fakers」の存在をディスることなく、潔く認めて、「心のムダな反応を止める」という意味では仏教の教えにも通じると思います。
まとめ
スーパースターゆえ、批判やアンチの数は一般人のそれとは比べ物にならないと思いますが、対処法・向き合い方については、われわれ誰にでも当てはまる普遍的な学びがあるのではないでしょうか。
他者の課題に踏み込んだり、自分の課題に踏み込まれてはいないだろうか?
学校や職場、インターネット、SNS上に蔓延する「他者の課題」は積極的に「Shake It Off」して、自分の人生を生きましょう。