「がんばってもうまくいかない」と感じることは誰だってあるでしょう。
人生はキビしい戦いの連続ですが、孫子の言う「戦わずして勝つ」方法もあるのではないか?という問題提起です。
本当の強みは本人が当たり前と思っていることの中に潜んでいる
その人にとっての本当の強み、他の人にはなかなか真似のできない強みというのは、それが本当の強みであればあるほど、本人にとっては「できて当たり前、知ってて当たり前」であることが多いのです。だから、それを「あなたの強みってここですよね」と言われると「はあ、それは私にとっては当たり前なんですけど」と思ってしまう。
一方で、周囲の人たちにはできるのに自分にはできないことに意識を向けてしまい、いわば「ない物ねだり」をしてしまう。
しかし、ではその「ない物」を一生懸命に努力して獲得したとしてどうなるかというと、せいぜい「人並み」にしかならないわけです。しかし、これでは厳しい。なぜかというと、「人並み」のものには誰もお金を払わないからです。経済価値が生まれないんですね。
山口 周『知的戦闘力を高める 独学の技法』ダイヤモンド社
日本を代表する外資系コンサルタント・山口周さんのベストセラー。
初めて読んだときは目からウロコでした。
「隣の芝生は青く見える」のが人間の性ですが、趣味ならまだしも、プロの世界では命取りになることもしばしば(芝だけに)
人はできないところばかりに目が向いてしまう
人の脳は、自分にとってネガティブなことが起こりそうなときのセンサリングは発達している。生きていくうえでネガティブな情報は危険を避けるための重要な情報だからだ。
つまり、人は「できないところばかりに目が向いてしまいやすい」性質を持っている。
青砥 瑞人『BRAIN DRIVEN』ディスカヴァー・トゥエンティワン
なんと脳神経科学の分野でも同じポイントが指摘されています。
たとえテストで20点しか取れなかったとしても、「80点失った部分」ではなく、前向きに考えれば「20点できている部分」から得られる学びもきっとあると思うんですよね。
最高の戦略は努力が娯楽化することである
極端なことをいえば、勝ちたいから努力をするよりも、さしたる努力をすることなく勝ってしまうフィールドを探すほうが、間違いなく勝率は上がる。(中略)
孫子は「戦わずして勝つ」ことを善としている。勝つためには、最初から負けるフィールドを選ばないことが重要なのだ。最高の戦略は努力が娯楽化することである。
為末 大『諦める力~勝てないのは努力が足りないからじゃない』プレジデント社
400mハードルのオリンピックメダリスト・為末大さんの示唆に富むアドバイス。
「さしたる努力をすることなく勝ってしまうフィールド」っていう語感がすげー好き。
能力の輪の内側に留まろう
一般的には、能力の輪が大きいほどチャンスは広がり、大きな収益を上げることができるのではないかと考えるだろう。だが、バフェットは、そうは考えない。
「最も重要なのは、自分の能力の輪をどれだけ大きくするかではなく、その輪の境界をどこまで厳密に決められるかです。」
桑原 晃弥『ウォーレン・バフェット 成功の名語録』PHP研究所
世界一の大富豪、ウォーレン・バフェット氏の有名な名言。
これに気付かず、能力の輪の「サイズ」を大きくしちゃうのが世の中の罠だと思う。
能力の輪の内と外では1000倍もの差がある
平均的なプログラマー(能力の輪の外側)と比較したときのすばらしいプログラマー(能力の輪の内側)の優秀さの度合いは、2倍や3倍や10倍どころではないからだ。
何か問題が起きたとき、すばらしいプログラマーは平均的なプログラマーが必要とする1000分の1の時間でその問題を処理してしまう。
ロルフ・ドベリ『Think clearly』サンマーク出版
IBMの創業者トム・ワトソンは、この主張の正しさを裏づける生きた証拠だ。ワトソンは自身についてこう述べている。
「私は天才ではない。私にはところどころ人より優れた点があって、そういう点の周りからずっと離れないようにしているだけだ」
ロルフ・ドベリ『Think clearly』サンマーク出版
自分の向き・不向きの境界をはっきりさせることのメリットがよくわかる部分。
にしても、1000分の1ってやべーな。
まとめ
人生において「あんまり頑張ってないのに人からの評価が高かった」というポイントには、最大限の注意を払って敏感になっておいた方がいい。
無駄な努力はするな。
私たちが今すでに持っている、世界で唯一のダイヤモンドを磨こう。