経済ジャーナリスト・桑原晃弥さんの著書『ウォーレン・バフェット 成功の名語録 世界が尊敬する実業家、103の言葉』(PHPビジネス新書)を読みました。
世界一の大富豪にして「オマハの賢人」と慕われるアメリカの投資家、ウォーレン・バフェット。
マネーセンスはもちろん、成功とは何か、情報や時間の使い方、人間関係の築き方まで、あらゆる職に就くビジネスパーソンの心を揺さぶる「仕事と人生の極意」にあふれた名言集。
判断というのは五分でたやすくできるものです
「まだ判断のしようがない事柄について、あれこれと考えて時間をムダにすることは避けるようにしています。判断というのは、五分でたやすくできるものです。そんなに複雑なものではありません」
『ウォーレン・バフェット 成功の名語録』
バフェットの判断は早く、「ノー」となれば、相手が説明途中でも話をさえぎって言い渡し、「イエス」の判断に費やすのは5分間のみ。
そして、「イエス」となれば、すぐさま行動を起こす。
判断の早さは相手の時間を大切にするためでもあり、さんざん話を引っ張って期待を持たせたあげくに「ノー」と告げるのは、バフェットの流儀に反するものでした。
お金は副産物にすぎない
バフェットは重ねて言った。
お金のためだけの仕事はしたくないでしょう?毎朝、出かける時はワクワクしていたいでしょう?
そういうバフェットは、今もミケランジェロが、サン・ピエトロ寺院のシスティーナ礼拝堂に絵を描きに行くような高揚した気持ちで仕事をしているという。『ウォーレン・バフェット 成功の名語録』
6歳の若さで、缶コーラの売買差額を得る「ビジネス」に喜びを見出したバフェット。
80歳を超えた現在でも、仕事をする喜びはまったく変わらないと言います。
母校・ネブラスカ大学での講演で、学生たちにこう語りました。
「大事なのは、自分が好きなことをとびきり上手にやることです。お金はその副産物にすぎません。」
「能力の輪」の境界をどこまで厳密に決められるか
バフェットは「能力の輪」という言葉をよく使う。
一般的には、能力の輪が大きいほどチャンスは広がり、大きな収益を上げることができるのではないかと考えるだろう。だが、バフェットは、そうは考えない。
「最も重要なのは、自分の能力の輪をどれだけ大きくするかではなく、その輪の境界をどこまで厳密に決められるかです。」『ウォーレン・バフェット 成功の名語録』
バフェットは「能力の輪」をしっかりと決め、その外にある企業や分野には、どれほど利益を生んでいても投資をしないことで知られています。
2011年に「IBM」、2016年に「アップル」に投資をするまで、ITなどテクノロジー企業には決して手を出さなかったのはそのためです。
自分の得意分野への投資に徹底し、決して能力の輪を広げないのが、バフェットの弱みに見えて、実は強みなのです。
まとめ
友人のマジシャンの伊藤大輔さん(@DaisukeIto1989)のおすすめで読みましたが、シンプルな構成で読みやすく、バフェット入門書として最適な一冊でした。
ウォール街的な強欲とは一線を画し、田舎町のオマハに隠れ住むように身を置き、毎朝コカ・コーラを片手にマクドナルドを食べる質素な生活の中で生まれた、示唆に富む103の名言集。
あらゆる分野のビジネスマンに響く、世界一の投資家のエッセンシャルな哲学をお楽しみください。