人は弱者をひいきにはするが、勝者のあとにしかついていかない。『それでもなお、人を愛しなさい』ケント・M・キース

ケント・M・キースさんの著書『それでもなお、人を愛しなさい 人生の意味を見つけるための逆説の10ヵ条』（ハヤカワ・ノンフィクション文庫）を読みました。

ニューヨーク生まれの行政官僚、講演家のケント・M・キース（Kent M.Keith）さんによる名著。

「逆説の10ヵ条」は、1968年、著者がハーバード大学2年生在学中に書いたもので、後にマザー・テレサの目に留り、世界中に広まりました。

人生の意味に心の焦点を合わせるため、常に枕元に置くべき一冊。

正直で率直な「無防備さ」が強い人間関係を築く

正直で率直にふるまえば、あなたは無防備になります。
どうすればあなたを攻撃し、傷つけることができるか、人に知らせることになるのですから。
しかし、無防備さが良い意味をもつこともあります。無防備になると、他の人たちと心がつながりやすくなります。

『それでもなお、人を愛しなさい』

争いだらけの世の中では、鎧（よろい）に身を固めて行動したくなるのも無理はありません。
しかし、鎧はあなたを守ってはくれますが、同時に、あなたを閉じ込めて、成長を止めてしまいます。
鎧を脱ぎ捨てて、正直で率直であることから生まれる「内面の強さ」を磨くことで、人生が豊かになります。

人は弱者をひいきにはするが、勝者のあとにしかついていかない

人は弱者に同情します。弱者の気持ちがよくわかると言います。不利な状況の中で弱者が勝利する話を人は好みます。
しかし、自分の家族、キャリア、評判が危うくなると、弱者のために戦うという危険は冒さないのが普通です。

『それでもなお、人を愛しなさい』

あなたの助けを必要としている弱者に出会ったとき、たとえ人の不評を買ってでも、自分のキャリアや地位を追われてでも、あなたが正しいと信じるというただその理由において、力を貸しましょう。
「長いものに巻かれる」だけの人生ほど虚しいものはありません。

世界のために最善を尽くしなさい

あなたはユニークな存在であることを決して忘れてはなりません。
遺伝子的にユニークであり、才能と体験の組み合わせにおいてもユニークな存在です。
ということは、あなたにしかできない貢献があるということです。

『それでもなお、人を愛しなさい』

人生において最善を尽くすタイミングは「準備ができたあと」ではなく、あなたに与えられている今日この1日、今この瞬間です。
「今すでにあなたはユニークな存在である」という前提において、今すでにあなたには提供できる何かがあるのです。

逆説の10ヵ条

1. 人は不合理で、わからず屋で、わがままな存在だ。それでもなお、人を愛しなさい。

2. 何か良いことをすれば、隠された利己的な動機があるはずだと人に責められるだろう。それでもなお、良いことをしなさい。

3. 成功すれば、うその友だちと本物の敵を得ることになる。それでもなお、成功しなさい。

4. 今日の善行は明日になれば忘れられてしまうだろう。それでもなお、良いことをしなさい。

5. 正直で率直なあり方はあなたを無防備にするだろう。それでもなお、正直で率直なあなたでいなさい。

6. 最大の考えをもった最も大きな男女は、最小の心をもった最も小さな男女によって撃ち落とされるかもしれない。それでもなお、大きな考えをもちなさい。

7. 人は弱者をひいきにはするが、勝者の後にしかついていかない。それでもなお、弱者のために戦いなさい。

8. 何年もかけて築いたものが一夜にして崩れ去るかもしれない。それでもなお、築きあげなさい。

9. 人が本当に助けを必要としていても、実際に助けの手を差し伸べると攻撃されるかもしれない。それでもなお、人を助けなさい。

10. 世界のために最善を尽くしても、その見返りにひどい仕打ちを受けるかもしれない。それでもなお、世界のために最善を尽くしなさい。

まとめ

年間150冊ペースの読書家である公務員の友人に「人生最高の1冊」と薦められましたが、あらゆる文化、あらゆる世代の人間を豊かにする良書です。

厚さわずか1cmの文庫なので、1時間もあれば読めちゃいます。