「理想と現実のギャップ」に悩むのは無意味である

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「理想と現実のギャップ」に悩むすべての人へ。
んなもん考えたことねーよという方は記事を閉じていただいて構いません。

この記事の著者
酒田しんご

プロジャグラー。
「7ボールジャグリング」の公式日本記録を保持。京都にてロングラン公演中のノンバーバルシアター『ギア-GEAR-』レギュラーキャスト。

自身の反省

実は私自身、幼少期から寝ても覚めても「理想と現実のギャップ」に悩める子羊の1人であった。

明確に思い描いた理想が絶対的な基準であり、そこに向けて自分を近付けようとストイックに努力するも、体力的、時間的、環境的、人間関係的な制約でそれが叶わない時、名状しがたいフラストレーションを感じていた。

「理想に向かって頑張る」ことこそが人生のすべてであり、社会貢献であり、この世に生を受けた意味だとすら思っていたが、それが大きな間違いだと気付いたとき、フッと気が楽になった。

そもそも理想と現実は比較対象ではない

世間では、理想と現実が「エビとカニ」のような二項対立の文脈で語られることが多いですが、実際のところ「ミラノ風ドリアとドジョウ鍋」を比べるようなもので、そりゃギャップがあって当たり前やろという話です。

そんなギャップを埋めたところで幸せにはなれやしない。

理想と現実の性質的な違い

理想現実
無限である有限である
物理的に存在しない物理的に存在する
すべてコントロールできるすべてはコントロールできない
周りの環境・トラブル・運に影響されない周りの環境・トラブル・運に影響される
欠点がない欠点がある
向き合うのが楽しい向き合うのが怖い(こともある)

↑まったくの別物であることに気付く。

やりたいことを全てやることは不可能である

タフな選択は避けられない。やりたいことを全部やる時間はない。さらに、限られた時間の使い方さえも自分ではコントロールできない。すべてを完璧にこなせる人なんていない。体力や才能、その他のいろんなリソースが足りない。

そんな現実を直視したくないから、僕たちは全力で現実を回避する。まるで何の制約もないかのように、非現実的な幻想を追いつづける。

オリバー・バークマン『限りある時間の使い方』(かんき出版)

理想の世界では、すべてを完璧にこなすスーパーマンでも、現実はあまりに不完全で、不条理で、不可能だらけの世界だ。

無限に広がる夢物語を追うのはやめて、現実の有限性を認めよう。

人生は絶え間なく可能性に別れを告げる過程である

人は1日のうちに何百もの小さな選択をする。そのたびに、できるかもしれなかった無数の可能性を永遠に切り捨てている。(中略)

限りある人生を生きるということはーそれがどんなに最高の人生であってもー絶え間なく可能性に別れを告げる過程なのだ。

オリバー・バークマン『限りある時間の使い方』(かんき出版)

どんな名声を持つハリウッドスターも、SNSでキラキラしているインフルエンサーも、人間は例外なくみんな、可能性を捨て続けて生きている。

できること、そして、できないこと。勇気と覚悟を持って選択していこう。

理想を追いかけるのは人生の嘘である

人生における最大の嘘、それは「いま、ここ」を生きないことです。過去を見て、未来を見て、人生全体にうすらぼんやりとした光を当てて、なにか見えたつもりになることです。

あなたはこれまで、「いま、ここ」から目を背け、ありもしない過去と未来ばかりに光を当ててこられた。

岸見 一郎『嫌われる勇気』ダイヤモンド社

学校教育の「目標や夢に向かって行動しましょう」という美意識が生んだ弊害、というか洗脳だと思いますが、現在の生活を「いつかそうなるべき自分」への準備期間として捉えてはいないだろうか?

顔の前にぶらさがったニンジン(=理想)を追いかけるロバみたいな人生はもうやめよう。

自分→他者への理想について

「こうでなければ」という、自分の人生や、相手への期待も、それだけならただの「判断」。それはアタマの中にしか存在しないから「妄想」です。

(中略)本当は、「自分も、他人も判断しない」ことが、一番なのです。

草薙 龍瞬『反応しない練習』KADOKAWA

「こうであってほしい相手」というのは実は自分の中にしかない幻想であり、現実の人間は常に「無常(=変わりゆくもの)」である事実を受け入れよう。

人に対する理想を思い描くことで、自分が苦しんだり、周りの人間を縛り付けてはいないだろうか。

他者→自分への理想について

「僕は自由になりたいです。文学的だとか、天才だとか、哲学的な歌詞がステキだみたいなことを言っていただいて、出来上がったほかの人たちの中にある偶像に自分が支配されちゃうということに、すごく耐えられない」

ぼくのりりっくのぼうよみ、アーティスト活動終了へ 天才をやめようかなと思って」 – Real Sound|リアルサウンド

私は幸運にも偶像に支配される感覚を知らないが、他の人の中に本当の自分と乖離した自分が出来上がるのはよくわかる。

そんなギャップに苦しみながら、他人の期待を満たすことに必死になって、果たして幸せだろうか。
いつしか他者(世間一般)が望んだことが、自分の目標になってしまっていないだろうか。

他者に好かれるか、嫌われるか、それは本質的には他者の課題であり、自分の人生とは切り離して考えるべきだと思う。

まとめ

「あるべき自分」ではなく「ありのままの自分」を受け入れよう。
「そうであってほしい他者」ではなく「ありのままの他者」と向き合おう。

「理想に向かって頑張ろう」といった紋切型のスローガンに騙されてはいけない。

今この瞬間をKeep it real。楽しい人生とは、希望を捨てることから始まるんだ。