ジャグリングの話

僕が「ジャパン・ジャグリング・スクール」を設立した理由10個

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2024年12月、ジャグリング教室事業「ジャパン・ジャグリング・スクール(@jjs_juggling)」を立ち上げました。

2024年秋~年末にかけて、準備に忙殺されており、4ヶ月ほどブログを更新できませんでしたが、やっと落ち着いたので設立の想いを記しておきます。

この記事の著者
酒田しんご

プロジャグラー。
「7ボールジャグリング」の公式日本記録を保持。京都にてロングラン公演中のノンバーバルシアター『ギア-GEAR-』レギュラーキャスト。

JJSの理念

世界にひとつの
「得意」を伸ばそう。

あくまで私の考えですが、「ジャグリング人口を増やしたい」「ジャグリングをメジャースポーツにしたい」とは全く思っていません。

「ジャグリングを通して自分の“得意”を見つける場を提供したい」という使命感が第一です。

自分の得意・不得意を見つける教材として、ジャグリングの有用性は明らかです。

  • 道具のバリエーションが多い
  • 老若男女を問わない
  • どこでもできる
  • 1人でできる
  • コストが安い
  • 安全・健康的である

例えば「ボールは得意だけど、ディアボロは苦手だな」と思ったらディアボロは辞めればいいし、「そもそもジャグリングが向いてないな」と思ったらジャグリング以外に得意なことを見つければいい。

「最も重要なのは、自分の能力の輪をどれだけ大きくするかではなく、その輪の境界をどこまで厳密に決められるかです。

桑原 晃弥『ウォーレン・バフェット 成功の名語録』PHP研究所

戦後日本の単線型(小→中→高)の学校教育で、紋切型の国・数・英・理・社を半ば強制的に12年間も学ぶシステムに私は懐疑的です。

やっぱりね、得意なことをやった方が人生は楽しいし、周りも幸せなんですよ。
JJSがそんなきっかけを与えられる場になったらこれほど嬉しいことはありません。

JJS設立の想い10個

1. たった1人の人生でやれることなんてたかが知れている

2023年1月、ラムゼイ・ハント症候群により、顔面神経麻痺を発症しました。

ジャグリングを始めて約20年。自分の力を最大化するために走ってきましたが、ここで初めて「1人の人間の体力・時間・メンタルの限界」を痛感することになります。

多くの人の支えで回復に至り、「残りの人生はやり残したことをやろう」と心に刻みました。

「仕事の忙しさ」を何かの勲章のように自慢して、過去の成功体験に縛られて、本当にやりたいことを後回しにしてはいけない、と。

やらなかったこと
やりたかったこととも言うだろう
あなたが人生においてやらなかったことだよ
あなたがやり残したものとは何だい?

THA BLUE HERB『AND AGAIN』

2. 「代わりの効く仕事」を作ろう

“有名になればなるほど、自分の時間が奪われていく”

一般的にプロのアーティストが目指す「代わりの効かない仕事」に内包されている恐ろしい罠がここです。

「代わりの効かない仕事」を目指せば目指すほど、ビジネスの基本である「仕事にバッファを持たせる」という概念から遠ざかっていきます。

「誰にもできないこと」は魅力的ですが、それを商売の場面に持ち込むのは、長期的に見てあまり得策ではありません。

※バッファ(buffer)…マンパワーやスケジュールなどの余力、余裕

3. 「組織」で社会にアプローチしたい

物事には「1人でも楽しいけど、みんなでやった方が楽しいよね」ってことが実はたくさんあって、私にとっては「仕事」もそのひとつだと気付きました。

「三人寄れば文殊の知恵」(=コレクティブ・ジーニアス)とはよく言ったもので、世の中のどんな1人の天才も、チームや組織の力には叶わないんですよね。

っていうか、組織で仕事をするのが世間のスタンダードであって、パフォーマー業界の感覚がズレている部分だと思います。

4. 仕事のサスティナビリティを問う

感動の消費は、その瞬間気持ちがいいけど、虚しさという燃えカスが残ってしまう。
これからの時代はそうじゃない。自分の気持ちも含めて、サスティナブルにパフォーマンスを成熟させて、追求していくこと。これがめちゃくちゃ大事。

石垣元庸/B-BOY NONman(弁護士)

やっぱりジャグリングが好きだからこそ、ずっと楽しく続けたいし、自分の大切なものを仕事のために燃えカスにはしたくないんですよね。

5. 仕事とは「与えられるもの」ではなく「作るもの」である

「サスティナブルな仕事」を考えたときに、ただギャンブルのように受け身で案件を待つのではなく、能動的にクリエイトいきたいなと。

パフォーマーはいわゆる「営業」だけで生計を立てることは可能ですが、目先の利益のために、みんなで限りあるパイを取り合いしてるだけで、「これって本当に業界のためになってるの?」と思います。

本当に業界全体のことを考えるなら、もっと与え合わないと土壌が枯渇してしまうし、消費ではなく投資すべきだし、世代や職種を超えて、新しい価値を創造すべきではないでしょうか。

同質性の高い人たちが集まると、意思決定のクオリティが著しく低下する傾向があることを示したのは心理学者のアーヴィング・ジャニスでした。

山口 周『知的戦闘力を高める 独学の技』ダイヤモンド社

6. プロジャグラーの仕事は「ショー」だけではない

大学で現代社会学を専攻していたこともあり、「舞台芸術としてのジャグリング」よりも「ジャグリングと社会の関わり(教育現場, 人材育成…etc)」に興味があります。

ここで「なぜプロジャグラーの仕事=ショーなのだろう?」という問いが生まれます。

ジャグリングって見るのも楽しいんですが、実際にやるともっと楽しいんですよね。これを否定できるジャグラーはいない。たぶん。

そう考えると、ショービジネスだけで満足していたら「木を見て、森を見ず」なんじゃないかなと思います。

7. ジャグリングの文化そのものに恩返ししたい

私がかなたを見渡せたのだとしたら、それは巨人の肩の上に立っていたからです。
(英語: If I have seen further, it is by standing on the shoulders of giants.)

アイザック・ニュートンが1676年にロバート・フックに宛てた書簡の一節

いつもマジシャンのジョニオ(@BonJonio)と話すのですが、マジックもジャグリングも、あらゆる学問も、偉大な先人たちが生み出した財産をお借りして(=巨人の肩に乗って)我々が活動できていることを忘れてはいけない、と。

ただ「お金稼ぎのツール」として消費するのではなく、ジャグリング文化そのものに貢献する生き方を考えたとき、ノウハウを独り占めするのではなく、周りにシェアすることが誠実な姿勢だと思いませんか?

8. 自分の死後の世界を考える

おそらく、ドーパミンに依存して、自分にとっての気持ちよさだけを追いかけているご様子が伺えますので、大変失礼ながら極めて近視的なんだと思います、と「率直」かつ真摯にお答え申し上げます。
目先の物事にとらわれず、自身の本当の成長につながることに中長期的視座でお取り組みください。
人生は、思ったより長くありませんよ。

高城未来研究所「Future Report」Vol.698

あくまで個人的な価値観ですが、どうせ投資(=お金だけじゃなく、時間や情熱も含めて)するなら、自分の死後100年、200年と続く(かもしれない?)ことに投資した方がワクワクすることに気付きました。

JJSは敢えて代表の名前を前面に出さず、私の死後も組織が存続できるように初めからデザインしています。

9. ITスキルとジャグリングを掛け合わせる

8年間のブログ運営で得た、WordPress制作やSEO対策の知識をジャグリングと掛け合わせて、スクールの予約システムを自分で作りました。(めっちゃ時間かかったけど)

ITやAIに使われるのではなく、使う側になって、どんどん自動化していきたい。

今後あらゆる職業は掛け合わせることが求められています。
時代は「グレートリセット」ならぬ、「グレートリミックス」なんだと思いますね。
3つも4つもアイデアをミックスしましょう!

高城未来研究所「Future Report」Vol.711

10. 多くの人に役立つことをしたい

めっちゃキレイごとですが、もう最終的にこれです。

幸福って何かというと「貢献感」なんですよね。

JJSは、ジャグリングを使って、もっと人と社会と地球に役立つことができないかという挑戦です。

人生の最大のよろこびは何か?

それはつまるところ、人をよろこばせることだと思った。「人生はよろこばせごっこ」だと気づいたとき、とても気が楽になった。

やなせ たかし『明日をひらく言葉』PHP研究所

もし、ほんとうに貢献感が持てているのなら、他者からの承認はいらなくなります。わざわざ他者から認めてもらうまでもなく、「わたしは誰かの役に立っている」と実感できているのですから。

岸見一郎/古賀史健『嫌われる勇気』ダイヤモンド社
ネパールでのワークショプ@2019年

ロゴも作ったよ

Designed by @gridgraphic_kyoto

4つの赤いボールと3本のエッジの効いた直線で構成されたシンプルなマークは、「日の丸」と侍のもつ「刀」をモチーフにしています。
世界で活躍する、一流の日本人ジャグラーがたくさん育つことを願ってデザインしました。

Shuichiro OHIRA / gridGraphic

尊敬する京都の大先輩、デザイナーの大衡秋逸郎さんにロゴを作っていただきました。
見れば見るほどグッとくる良いロゴです。トッププロの仕事ってすごい。

2024/12/18「JJSオープニングパーティー」を開催しました

日本のジャグリング黎明期を支えたレジェンドから、これからの未来を担う才能あふれる若手と共に、JJS開校記念イベントを開催いたしました。
ご来場・サポートいただいた全ての皆様に感謝を申し上げます。ありがとうございました。

アーカイブ映像(完全版)はこちら
// 視聴期限:2025年4月30日(水) \\

リーダーとは組織の設計者である

立命館大学の大先輩であり、マジックサークル創始者である、坪谷邦生先生(@tsubo92)のベストセラーより。

これから始まる航海。世代・文化を超えた、胸いっぱいの想いを乗せて、立派な船を設計していきたい。

船長や操舵手がどんなに良い働きをしても、船の設計自体が狂っていれば船は思い通りに動かず、やがて沈みます。リーダーは組織の設計者であるべきです。

坪谷邦生『図解 組織開発入門』ディスカヴァー・トゥエンティワン