鈴木健二さんの著書『話し方の科学』(講談社プラスアルファ文庫)を読みました。
1994年出版。元NHK名物アナウンサー・鈴木健二さんによる名著。
アナウンサーの目から見た多くの実例をデータに、「話し方」を多方面から科学的に分析。
一律に「こんな場合はこうしなさい」というこれまでの話術の本とは一線を画す一冊。
たった1秒の延長
あなたが親しい人と普通に話している時には、相手と3秒間目を見合わせて話をすると、次にはお互いに7秒間視線をはずし、今度は5秒間見合わせると、また、7秒ぐらいはずし、ちらっと1秒間だけ視線が交錯するという繰り返しをいつも行いながら話をしているのです。
『話し方の科学』
多くの人は親や先生に「常に相手の目を見て話をしなさい」と教わりますが、あなたが話をしているときに、じっと相手に見つめられていたら、息苦しくなってしまうでしょう。
話し方が上手な人は、平凡な人が「3秒見合わせて7秒離す」ところを、見合わせる時間が1、2秒長く、離す時間は1、2秒短いことが研究でわかっています。
話し上手になるためには、相手を見る時間をたった1秒だけ延長すれば良いのです。
結果や原因を先に、理由を後に
「原因と結論を最初に言い、次に理由を説明したり、状況を話す」
これがどんな話にでも望まれる一番の鍵です。この原則を崩しても、なお話が上手にできる人は、非常に話のうまい人で、何万人にひとりしかおらず、そういう人はこの本を読む必要のない人です。『話し方の科学』
結論を先に出しておくことで、聞き手は話のイメージを具体的に想像することができます。
たとえば結婚式にて、
「私は新郎がどんなに勇気のある人間かお話ししたいと思います。実は小学校時代~」
と切り出すと、聞く人に興味と緊張感を与えます。
「私たちは小学校のとき~」
と、単なる思い出話からスタートしてしまっては、聞き手の興味が途切れ、無感動なスピーチとなってしまうのです。
必要なとき以外には、不在の第三者の話は絶対にしない
人間が一生のなかに話す話題の三分の一は他人の噂話、三分の一は性についての話、あとの三分の一が必要な話であるという説があるほどです。
そして、噂話の大部分は無駄で、しかも自分にとってはマイナスなものです。『話し方の科学』
第三者が賞讃され、名誉が与えられるか、第三者の話をしなければどうしても現在進めている話がうまくいかないという場合以外には、いわゆる噂話の類は絶対に言うまいと心に決めましょう。
筆者はこう結んでいます。
「第三者のプラスの面にだけ責任を持ち、マイナス面には、寛容か無関心でいられるというのは、何と楽しい人生ではありませんか。」
まとめ
友人のマジシャンのジョニオ(@BonJonio)に薦められて読んでみました。
1994年の本にも関わらず、目から鱗の科学的データと明日から使えるライフハックが詰まった、色褪せることのない名著です。
Kindle版はありませんが、中古品が1~100円程度でAmazonに出ていますので、対人のサービス業に従事している方はポチって損はありません。