サーティワンの無限感に惹かれます。有松遼一(能楽師)- インタビュー #3

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能楽師ワキ方高安流。

京都大学大学院の博士課程を修了後、京都能楽界で活躍する有松遼一さん。
アメリカ、フランス、ロシア、ブルガリア、マレーシア…etc、海外公演も多数。

「踏み込んだ話はしない」がテーマの対談企画、第3弾です。

▲有松遼一(能楽師)

「幕が上がったときには、すでに終わっている」という美学

酒田:舞台に立つにあたって、心がけていることはありますか?

有松:「幕が上がったときには、すでに終わっている」という美学を心がけています。

酒田:と言うとーー…?

有松:僕らの世界では、日頃の稽古や準備に加えて、楽屋働き(がくやばたらき)が重要とされています。

酒田:楽屋働きとは何でしょうか?

有松:装束の用意や、着付け、食事の用意など、能楽師はすべての仕事を自分でします。

能は指揮者がいないので、共演者の微細なシグナルを受け取る力が必要です。これらを舞台裏での稽古や楽屋働きによって鍛えるわけです。

いわゆる「空気が読めない人」は舞台には立てません。

セリフを「音」ではなく、バーチャルな紙をめくる「映像」として覚えています

酒田:失礼なご質問ですが、本番でセリフ(謡:うたい)を忘れることはないんですか?

有松:滅多にないことではありますが、僕らの世界では「絶句」と言って、起こり得ます。

酒田:その場合の対処法は?

有松とにかく「止めないこと」が最重要です。万が一、どうしても窮したときには、何かしらのセリフを即興で謡い続けます。

稽古で絶対に詰まらない箇所に限って、本番になると頭が真っ白になってしまうことがあるんですよね。


酒田:舞台上で想定外のエラーが起こるのは、ジャグリングも同じです。

有松:たとえ忘れても、手がかりが見つかるように、セリフを「音」ではなく、バーチャルな紙をめくる「映像」として覚えています。この方法論は人それぞれですが。

酒田:ということは、有松さん、もしかして左利きですか?

有松:いえ、右利きのAB型です。

サーティワンの無限感に惹かれます

酒田:好きな食べ物を教えてください。

有松:サーティワンアイスクリームの「ジャモカアーモンドファッジ」です。

2種の豆をドリップした濃い目のコーヒーアイスクリームに、チョコレートとアーモンドが絶妙にマッチしています。


酒田:では、ダブルにするなら?

有松:「チョコミント」でしょう。

酒田:トリプルならーー…?

有松:「チョコチップ」ですね。

小学校時代の夢は、アイスクリーム屋さんでした。サーティワンの無限感に惹かれたんですね。大学で京都に来て、初めて1人暮らしをしたとき、まず最初にアイスクリームをすくうディッシャーを買ったほどです。

酒田:(笑)

自分自身が精神的に制約されるものは作らない

酒田:グルニエ・ドールの「リンツァートルテ」は絶品ですね。プライベートでの日課はありますか?

有松:雑誌『VOGUE』の「しいたけ占い」をチェックしていましたが、最近は止めました。自分自身が精神的に制約されるものは、できるだけ作らないようにしています。

酒田:しいたけに左右されない人生がいいですよね。

有松遼一(ありまつ・りょういち)
能楽師ワキ方高安流。谷田宗二朗師・飯冨雅介師に師事。
公益社団法人能楽協会会員。京都大学文学部卒業、同大学院博士課程(国文学)研究指導認定退学。同志社女子大学非常勤講師。
京都を中心に、大阪・東京・名古屋・九州・北海道など、数々の舞台に出演。海外公演や子どもたちへのワークショップ・学校公演にも多数参加。大学の講義では能楽や和歌など古典の魅力を伝える。能が現代に生きる芸能・舞台芸術であることを問い続ける。
Web:http://arimatsu-noh.com/
Twitter:@arimatsu_noh
Instagram:@arimatsu_noh

撮影させていただいたお店

店名 サロン・ド・テ オ・グルニエ・ドール
住所 京都市中京区堺町通錦小路上ル菊屋町519-1
エリア 四条烏丸
アクセス 阪急京都線「烏丸」より徒歩3分
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※2018年5月31日閉店

Text & Photo by 酒田しんご(@jugglershingo