またまた今年も京都精華大学で授業をしてきました

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2018年、2019年に引き続き、京都精華大学にて、特別講師として授業をさせていただきました。

写真左から、

です。

「発展ことば演習 / パフォーミングアート論特講」


パフォーマンスを通しての表現テクニックや創造的思考について、ワークショップを交えた2コマの授業を行いました。


自己紹介を兼ねて、3~7個のボールジャグリングのデモンストレーション。


ジョニオによる、コインマジックのデモンストレーション。

ノンバーバル・コミュニケーションを体験しよう


身体接触のみを用いた、ノンバーバル(=非言語)コミュニケーションを体験。


「ブラインド振り付け」は、被験者の視覚と聴覚による情報を遮断し、身体接触のみで情報を伝えるワークです。
(参考:いいむろなおきマイムカンパニー


日常生活ではありえない状況に教室は大爆笑。
人間のコミュニケーションにおいて、「言語」と「ジェスチャー」が担っている役割を実感できます。

マジックの3つの要素を分解して考えよう


マジックの「手法」と「現象」に対して、フィクションのストーリーを構築する演習。


ベースとなるメソッドは、2冊の本のページ番号を利用したマジック。


「なぜその現象が起こるのか」に着目して、それぞれ自由な発想でプレゼンテーションを構築して、オリジナリティ溢れる演出で発表してもらいました。

2コマ目は質疑応答&トーク

起こりうる失敗はすべて想定できる

学生:ショーの本番で失敗したらどうしますか?

酒田:ジャグリングは常に失敗のリスクが付きまとうので、「ドロップライン」と呼ばれるリカバリーのネタや、再挑戦する時間を想定してパフォーマンスを作っています。

ジャグリングの失敗は、お客さんから見ても明らかで、誤魔化すことはできないので、起こってしまった失敗は、プラスに利用するしかないですね。「失敗のリスク」が持つワクワク感は、ある意味で、ジャグリングの醍醐味だと思っています。

ジョニオ:マジックはキャリアを積むと失敗のパターンが蓄積されて、起こりうる失敗はすべて想定できるようになります。

17年間マジックをやっていますが、10年を越えたあたりから、新しいパターンの失敗はほぼ無いですね。すべてのパターンに対処できるメソッドを予め用意しておけば、精神的余裕に繋がり、失敗そのものが減るというメリットもあります。

最も大切なことは失敗からでしか学べない

学生:失敗してもモチベーションを維持できる秘訣はーー…?

酒田:アメリカの投資家は、一度も失敗したことがない起業家にはお金を出しません。

ジャグリングは「トライ&エラー」によって上達するので、日々の生活でも「失敗は成功の元」という考えが染みついていますね。人生において最も大切なことは、失敗からでしか学べないと思っています。

むしろ、新しいチャレンジをして、難なく成功しちゃったときの方が怖いですね。「成功したときこそ足元をしっかりな」と胸に刻んでいます。

西本:このクラスでも、いろんなテーマでプレゼンをする中で「トライ&エラー」を実践してもらっています。大学の授業は、まさに「心置きなく失敗できる場所」ですからね。

緊張を緊張と思ったことがない

学生:人前で緊張する場合の対処法はありますか?

ジョニオ:僕って、緊張を緊張と思ったことがないんですよね。

中学校まで野球部だったんですけど、バッターボックスに入って緊張したことがなくて、「緊張って何?」みたいな(笑)
大人になってわかったのは、当時、心臓がバクバクする身体的反応はあったんですが、それを緊張とは思ってなくて、「ポンプが体に血液を送ってる!」とポジティブに捉えてたんです。

「精神的緊張」は入念な準備やトレーニングでカバーできるので、「身体的反応」とは切り離して考えるのがコツです。

練習の段階から緊張しておく

酒田:僕は逆にめちゃくちゃ緊張するタイプなので、「練習の段階から緊張しておく」ようにしています。

リラックスして練習するのではなく、練習の段階から「これミスったら死ぬ!」と自分でプレッシャーをかけて、意図的に緊張状態を作り出す。プロなら練習と本番を切り離してはいけない。人前で緊張するなら、前もって緊張に慣れちゃえばいいんです。

西本:同じパフォーマーでも、いろんな向き合い方があって面白いなぁ。

目の前の相手はジャガイモだと思えばいい

学生:人付き合いが苦手なのですが、どうすればいいでしょうかーー…?

ジョニオ:僕としんごさんの共通点って「あんまり他人に興味がない」ことなんです。

つまり「相手が自分のことをどう思っているか」にも興味がない。よく面接対策で「目の前の相手はジャガイモだと思えばいい」と言いますが、そのくらい割り切っちゃった方が精神的に楽ですね。

NYの億万長者のマジシャンとして知られる、スティーブ・コーエン氏の著書に、「成功の秘訣なんて分からないが、失敗する秘訣はね、すべての人に気に入られようとすることだよ」という一説もあります。

西本:これは緊張のコントロールにも通じる大事な視点ですね。

「下手だと思われたらどうしよう」ではなく、「自分の伝えたいメッセージはどうやったら届くだろう」と考える。つまり「気持ちのベクトルを外側に向ける」ことで、緊張が和らいで人付き合いも楽になります。

ジョニオ:ちなみに、ジャガイモだからといって、見下しちゃダメですよ(笑)あくまでも、ニュートラルに接するということです。

人に期待してはいけない

酒田:基本的に、人に期待してはいけないと思っています。

アドラー心理学的な考えですが、「他者の課題には介入せず、自分の課題には誰ひとりとして介入させない」というスタンスが対人関係の悩みを解決する基本です。

「自分が人にどう思われるか」はあくまで他者の課題であって、それをコントロールしようとするのは自己中心的な考えなのです。人を喜ばせるチャンスさえも失ってしまいます。

「オフラインでアナログ」な仕事と「オンラインでデジタル」な仕事

西本:最後に学生の皆さんにメッセージをお願いします。

酒田:クリエイターの皆さんには「2つ目の仕事」に加えて「2つ目の国」を推奨しています。

産業が「垂直統合型」から「水平分業型」に移行した世の中、インターネットを使って、企画・製作からリリースまで、全部ひとりでできる時代。個人で新しいビジネスを立ち上げる難易度は、この10年間でグッと下がりました。

また、今年からタイの首都・バンコクに部屋を借りているのですが、最近はLCCも非常に安く、移動コストは日本国内の旅行と大差ありません。

僕は「オフラインでアナログ」なジャグリングの仕事と、「オンラインでデジタル」なブログの仕事を、日本とタイを拠点に運営しています。ここで大切なポイントは、2つめの仕事と国は、自分の「好き」を最優先でチョイスすること。最低でも10年は続けないと結果は出ませんからね。

そして、オンラインの仕事を選ぶなら、例えばブログのような「ストック」できるものがいいです。物理的なモノの保存や品質管理、運搬にはコストがかかりますが、ブログならどれだけ多く書いても、長期間保存してもコストはほとんどかかりませんし、運搬する必要もありません。これがインターネットの優れたアーカイブ性です。逆にオフラインの仕事では、AIで代替不可能なライブパフォーマンスのような「生もの」の価値がこれから上がっていくでしょうね。

サブコンテンツを作ることで、磨いてきた針が太くなる

ジョニオ:クリエイターにとって「一点突破型」はひとつの理想ではありますが、それでは通用しない時代がすぐそこまで来ている。

もちろん、僕もしんごさんも子どものときからずっとマジックやジャグリングをやって、一点を貫くために針を尖らせ続けてきました。そして、ある程度のレベルに達したとき、サブコンテンツを作ることで、磨いてきた針が太くなることに気付いたんですね。具体的に言うと、業界の中でポジションを取れるようになった。プロマジシャンは日本に何百人といますが、「多拠点生活をしてるプロマジシャン」は僕しかいない。

このサブコンテンツは表現者にとっては最強の突破口だと思います。

極端な例ですが、銀行マンがフィンランドのオーロラを見ても(日々の活力にはできても)業務に活かすことはできない。でも、芸術家ならそこからインスピレーションを受けて、メインコンテンツに対して、相互にクリティカルヒットさせることができる。これが「One and Only」の近道になります。

想いの詰まった感想文がたくさん

  • テクニックだけでなく、表現の話が聞けて、自分のマンガ作りのためになった。
  • 人間関係が日々の悩みでしたが、話を聞いてスカっとしました。
  • 今日は朝からめちゃくちゃ無気力でどうしようかと思ってたけど、本当に来てよかった。
  • 私はタイ人留学生ですが、バンコクの話が聞けて嬉しかったです。

…etc

あっという間の3時間!


約40名の学生さんに受講していただきました。
未来のプロフェッショナルの皆様、ありがとうございました。

本当のマジックとは何でしょう?それはシンプルなこと、子どもを笑わせたり、友達が障害を乗り越えるのを助けたりすることです。
マジシャンの力は、一見ささいなもののように見えるでしょうが、その力には並外れた影響力が秘められています。空っぽのスカーフから鳩を取り出すのは、ひとつの創造行為です。

『マジシャンだけが知っている最強の心理戦略』

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