インタビュー

生姜焼きのタレはトルコでは使えない。B-BOY KAKU(ブレイクダンサー)- インタビュー #4

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現在、世界で彼の名を知らぬB-BOYはいない。

ヘッドスピン等のパワームーブ(回転技)において、日本屈指のブレイクダンサーとして世界を席巻し続けるB-BOY KAKU。

彼が、いかにして育ち、今何を思うのかーー…?

「踏み込んだ話はしない」がテーマの対談企画、第4弾です。

▲B-BOY KAKU(ブレイクダンサー)

アンタルヤには7つ星ホテルまである

酒田:本日はトルコ南西部のリゾート地・アンタルヤにやってきました。

KAKU:よくぞお越しいただきました。

酒田:僕のSIMカードが壊れたのに、バス停まで迎えに来ていただき助かりました。

KAKU:まじでヤバかったね(笑)会えてよかったわ。

酒田:現在は超高級ホテルのショーに出演中とお伺いしました。

KAKU:2019年春から、トルコ・アンタルヤの高級ホテルリゾート「Maxx Royal Resorts」のサーカスショーに出演しています。

皆さん、アンタルヤ(Antalya)は馴染みのない地名だと思いますが、イスタンブールから飛行機で1時間ほどの、地中海に面した温暖なリゾート地です。日本人にはほとんど知られてませんが、アンタルヤには7つ星ホテルまでありますね。

生姜焼きのタレがトルコでは使えない

酒田:半年間のトルコで生活はいかがですか?

KAKU:気候は最高!でも、豚肉がないのがキツい…

酒田:豚肉が好きなんですね。

KAKUオレ、好きな食べ物が「酢豚」と「生姜焼き」やねん。

イスラム教は豚肉を使った料理はもちろん、ポークエキスが入っているスープやブイヨン、ゼラチンを使ったデザート類もNG。もちろんスーパーにも豚肉は売ってない。ロシア人が持ち込む闇ポークはあるらしいけど…

酒田:僕も昨日までイスタンブールにいたんですけど、ラム肉を食べ続けるのはキツいですね。

KAKUやっぱり豚肉って美味しいよね。わざわざ日本から生姜焼きのタレを持ってきたのに、一回も使えてない。

酒田:(笑)日本に帰ったら、思う存分豚肉を食べてください。

KAKU豚肉といえば、大阪・日本橋の黒門市場にある「轍(わだち)」の酢豚が最高!皆さんぜひどうぞ!

痛みに鈍感なのは才能だと思う

酒田:ダンスを始めたきっかけは?

KAKU中学校3年生のとき、友達が6歩(ブレイクダンスの基本ステップ)をやってて、おれも勢いで始めたら、1週間でヘッドスピンが2〜3周できちゃって。

酒田:1週間でヘッドスピン!?

KAKUそうそう。普通はいくら早くても3ヶ月はかかるんやけどね。そのとき「もうこれしかない」と思った。

実は3歳から「3点倒立」と「首ブリッジ」をやってたらしく、ぜんぜん覚えてないけど、両親が言うには旅行先のディズニーランドでも披露してたらしい(笑)

酒田:すでにエンターテイナー!

KAKUあとは、幼少期にドラゴンボールの曲で家のリビングで踊ってたら、ガラスのテーブルに頭をぶつけて縫ったこともある。痛みに鈍感なのは昔からで、こればかりは才能だと思う。

自分のダンス人生が自分のためじゃなくなってきてる

酒田:トルコのサーカスショーに出演してみて、マインドの変化はありましたか?

KAKU昔から願っていた2つの夢「ダンスの仕事で海外に住む」「サーカスに出演する」が、32歳にして同時に実現して、今年は人生最大の転機になった。

若い頃、ただガムシャラにバトルで勝つために頭で回り続けたことで得た武器を、違う舞台で活かすことで、オリンピックでも盛り上がっている世界のB-BOYシーンに、新しい選択肢を示すことができると思う。

なにより、若い子達のためにも「素晴らしい舞台だった」と胸を張って帰国できるようにしたいね。

▲「回るときの支点はここ!」

酒田:13歳のB-BOY TSUKKI君をはじめ、KAKUさんの後輩たちの若い才能が楽しみですね。

KAKU僕が20年近く、世界を周ってきて大切だと思うことは、「どこに行っても自分らしく」そして「ギブ・アンド・テイク」の2点。

いくらダンスが上手くても、積極的にコンタクトをとって人間性を評価してもらわないと長続きはしないし、後輩にはその部分も学んでもらいたい。

そういう意味では、自分のダンス人生が自分のためではなくなってきたというポジティブな実感があるかな。

酒田:そんなKAKUさんは世界中を飛び回ってますが、今後の予定は?

KAKU帰国後は台北やラオス、カンボジア、ベトナムからのオファーがあり、やっぱりB-BOYシーンも東南アジアの盛り上がりをひしひしと感じます。

世界中に踊れる舞台があることに感謝して、これからも泥臭くフレッシュに踊っていく。オレにはこれしかないから。

B-BOY KAKU(角谷直人)
プロダンサー。1986年生まれ、兵庫県西宮市出身。
日本が世界に誇るブレイクダンスチーム「MORTAL COMBAT(モータル・コンバット)」の主要メンバー。
2005年、練習中に腕に全治半年の骨折を負うも、そこからの快進撃が世界のB-BOYシーンに衝撃を与える。
ダンススタイルは独自のオリジナルパワームーブを中心としたスピンマスター。中でもヘッドスピンからの「2000(ツー・サウザンド)」はまさに唯一無二、世界で彼にしかできないオリジナルの大技である。
世界で16人しか選ばれないソロバトルの最高峰「REDBULL BC ONE」に2度の出場経験を持つ。
世界各国で行われる大会においてゲスト・審査員・インストラクターとして活躍中。現在、世界で彼の名を知らないB-BOYはいない。
Instagram:@mortalkaku

撮影させていただいたお店

店名 Belek Cafe Kadraj
住所 Belek, 07506 Serik/Antalya, Turkey
エリア アンタルヤ・べレク
アクセス アンタルヤ国際空港よりタクシーで約30分
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Text & Photo by 酒田しんご(@jugglershingo

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