2023年1月、ラムゼイ・ハント症候群(耳性帯状疱疹)を発症しました。
入院→鍼灸院での治療を経て、快適な生活を取り戻せたので、これまでの経緯や雑感を書きます。
ハント症候群で困ってる人の参考になれば幸い。
動画
ビフォー&アフターがよくわかる、各10秒程度の動画です。
1ヶ月が経ちました!
— 酒田しんご (@jugglershingo) February 10, 2023
退院後、専門の鍼灸治療に5回通って、約80〜90%まで回復しました。
皆さまのサポートに感謝申し上げます。#顔面神経麻痺発症から32日目 pic.twitter.com/nQqLHwx0Lt
ラムゼイ・ハント症候群とは
ラムゼイ・ハント症候群は、ヘルペスウイルスの一種である水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)によって引き起こされ、顔面神経麻痺を主な症状とする疾患です。
ラムゼイ・ハント症候群(ハント症候群)とは|ドクターズ・ファイル
わかりやすく言うと「耳のヘルペス(=耳性帯状疱疹)」です。
過労やストレス、病気などで免疫力が低下した時に生じやすく、自然治癒率は30%程度で、後遺症が残りやすい病気でもあります。
2022年にはジャスティン・ビーバーも発症したことで有名。
あらすじ
2022/12/30
- 左ノドと左耳に軽い痛み
- そのままじわじわと悪化し続ける
2023/01/05
- 耳の痛みに耐えられなくなり、耳鼻科へ
- 「耳のヘルペスやねぇ」と診断
- 5日分の薬(ゾビラックス・アモキシシリン)を処方される
2023/01/06
- スマホもできないレベルの激痛(左耳周辺)
2023/01/09
- 薬が効いて、痛みがマシになってくる
- 顔面神経麻痺の発症
2023/01/10
- 前回の耳鼻科が定休日のため、別の耳鼻科へ
- 口元がまったく動かない重症判定のため、総合病院への紹介状
2023/01/11
- 入院
- 毎日1時間半のステロイド点滴を打ち続ける生活がスタート
2023/01/19
- 主治医に手術の可能性を伝えられてビビる
2023/01/23
- ついに退院
- ここまで特に顔の変化なし
- 退院日のお昼になって、口元がコンマ数ミリ動くようになった(気がするレベル)
2023/01/24
- ネットで評判の高い「はりきゅう処えのん」で鍼灸治療をスタート
2023/01/27
- 「えのん」2回目
2023/01/30
- 退院から1週間後の診察
- 顔の動きが出てきているため、手術は不要との判断
2023/01/31
- 「えのん」3回目
2023/02/03
- 「えのん」4回目
- このあたりで左目が完全に閉じるようになる(感動)
2023/02/04
- 友人の結婚式でジャグリングショーをして記念すべき社会復帰
- まだ笑顔はぎこちない
2023/02/07
- 「えのん」5回目
2023/02/09
- 顔面神経麻痺の発症から1ヶ月経過
- 80~90%まで回復(初対面の人が見てもわからないくらい)
筋電図検査(ENoG)
入院時(1月11日)
顔の左(麻痺側)が右(健常側)に対して119%の反応。
顔面神経麻痺の初期に見られる、100%を超えて暴走している状態。
入院中(1月18日)
20.2%に下がってきました。やばい。
退院時(1月23日)
退院時には17.2%。
一般的に、ENoG値が10%以下になると、治癒率が下がると言われており、総合病院では手術の検討対象となります。
(ただし、10%以下でも鍼灸治療で治癒するケースは多くあります)
兵庫・夙川「はりきゅう処えのん」
「関西 顔面神経麻痺 鍼灸院」でググって、レビューを熟読した結果、直感でビビっと来たのがこちら。
院長・鍼灸師の光山英史(みつやま・ひでふみ)先生。
元バスケ部で、笑顔がチャーミング。
キャリア17年の叩き上げ。
耳鼻咽喉科・自律神経症状における鍼灸治療のスペシャリストであり、顔面神経麻痺(ベル麻痺・ハント症候群)において多数の症例を持ちます。
初回の丁寧なカウンセリング。
もうこの時点で、光山先生の優しさに泣きそうになります。
(注)当時はブログを書く精神的余裕がなかったので、半月後の再現ショットです。
まず驚いたのが、顔には1本も鍼を刺さないこと。
「顔の筋肉に対しての局所的なアプローチでなく、顔面神経に対しての根本的なアプローチを行います」と光山先生。
*顔面神経麻痺は、顔の筋肉の損傷ではなく、顔の神経の損傷であるため。
人生で初めて鍼をしましたが、髪の毛くらいの細さで、注射の5分の1程度の痛みで、むしろ気持ちいいレベル。
すべて日本製のディスポーザブル(使い捨て)のものを使用し、感染症等の心配もありません。
約4日おきに5回通って、80~90%まで回復しました。
夙川のゴッドハンドと呼ばせてください。本当にありがとうございました。
*後遺症の「共同運動」のリスクを減らすため、残り5回程度の治療を続けます。
(早期治療の場合、計5~10回で完治の見込みがありますが、個人差があります)
幸運だったこと
- 職業柄、長期の入院が可能だったこと
- 麻痺から2日後には入院できたこと
- 鍼治療の良い先生に出会えたこと
- 手術せずに治ったこと
- 目が閉じる、口が閉じる、笑顔になれるという日常の幸せに気付けたこと
悔やまれること
- 耳が腫れた段階で、すぐに耳鼻科に行けばよかった
- 麻痺が起こる前に、耳鼻科のセカンドオピニオンを受診すべきだった
入院中の様子
ステロイド点滴。
ちなみに、副作用で目がバキバキに冴えるので、12日間の入院中、一度も昼寝しませんでした。
耳鼻咽喉科の名医・小島先生。
即入院を勧めていただき、救われました。ありがとうございました。
ヒアルロン酸の目薬と、抗ウイルス軟膏。
目が乾きすぎて、2時間おきに目薬を差さないと生活できないレベル。読書もPC作業もキツい。
ちなみに、就寝時は目にガーゼを貼ります。
ハント症候群の人に伝えたいこと
- とにかく早期治療が重要
- 無理に動かすトレーニングは逆効果
- 入院できるならした方がいいです(顔の安静を保つため)
- 手術(減荷術)を勧められても、慎重に判断しましょう(骨を削るため、逆に治りが遅れるリスクがあります)
- 強いマッサージはおすすめしません
- 顔を温めるのはおすすめ(あずきのチカラ…etc)
- 約12日間の入院中は、目に見える改善がないのがデフォなので安心してください
鍼灸院を選ぶポイント
- 顔面神経麻痺の治療は高度な技術を要するため、顔面神経麻痺を専門としている鍼灸院に行きましょう
- 腕のある鍼灸師は「集客のための値引」をしません
- 治療の初期段階で、顔面に鍼を刺す鍼灸師は疑った方がいいと思います
- 患者さんの声・症例数が多いかどうか(専門と謳っていても症例数が少ない所は注意)
まとめ
シャンプーが沁みない、スープが飲める、笑顔になれる…etc
日常のほんの些細な幸せこそがプライスレス。きっと残り2000週間ほどの人生、幸せの沸点を下げて、口角を上げて生きていこう。
応援、サポートいただいた皆様に感謝を申し上げます。
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インターネット上に、ハント症候群の経過をレポートした記事がほとんど無いため、このブログが顔面神経麻痺でお悩みの方の力になることを願っております。